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無実の始人
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あなたを探しに 最終話
















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あなたを探しに 最終話
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そこは、涙で溢れていた。
なぜ泣いているのと聞かれても、そこにあるのが当然なのだからその質問は愚問だ、とばかりに流れていた。


自分の目に溢れているのではない、彼女の眼下にそれは込みがっているのだ。


ゆるんだ風が向き合った二人の頬をなでて、礼拝堂のなかにぬけていく。
たった一枚。
春の花びらがこの空間に迷い込んだのが見えた。









「ママ…」
ようやく光が収まった扉の向こうに立っていたのは、涙でボロボロと頬をぬらしたヴィヴィオの姿であった。

一体何があったのだろう?

フェイトの身体は、声を出すことを覚えていないかのように、その赤い絨毯の引かれた道を急いで戻り、ヴィヴィオの元へと駆け寄った。
その時ふと窓の外に見えた外の暗さに初めて、ここに来てからどれだけの時間がたっているのかを知る。
世界は藍の色に包まれ、これから漆黒の世界へと染まりゆく前であったのだ。少なくとも3時間ほどはここにいたことになる。
なぜ今の自分が、こんな長い時間なのはの側を離れていることを許されるのであろうか。
ヴィヴィオの涙の理由はなのはの容体が急変した…ということで8割はかたいだろう。


どうして、自分はこんなに間が悪いのだ……。




また、津波が民家を破壊しつくしていくように自己嫌悪が襲ってきた。





「ヴィヴィオ!なにかあったの?!」
肩を掴み、片方の手の親指で優しくその眼尻に溜まった涙を拭いてやると、その赤と緑の瞳の奥にひどい顔の自分がいた。
「あのね…あの…」
うまく呼吸ができないらしく、全くこの後に何を伝えたいのかが見えてこない。
彼女のせいではないが、焦る自分は一刻も早く状況を把握したいがために、彼女を置いて病院の方へと駆けだそうとフェイトは顔を上げ…






そこで初めて、礼拝堂の入口の真向かいにある、ガラスでできた教会の玄関扉を通して、教会の前に誰かがいることに気がついた。







最初は信じれらなかった。

彼女がこんなところにいるはずがない、あれは幻か、はたまた最後に自分に会いに来てくれた亡霊か。
だが、彼女の座るその車いすを押している看護師と話しているところからして、あれは間違いなく実態なのだろう。

だけど、彼女は今まで長い眠りについていたのだし、急に目覚めた…といわれても、病院側が目覚めてすぐにこんな外にまで出してくれるのを許すはずがない。
ましてや、まだ夜は冬の寒さが生きている春なのだ。病院側としては大反対だろう。
だから、彼女が…






彼女がこんなところにいるはずがないんだ。












しかし、事実は事実として受け止めるしかない。
とても待ちわびていた彼女のいる風景。

それを久しぶりにみて、喜ぶよりも先に信じられなかった自分に少しくやしさを覚えながら、フェイトは、走り出そうとした足の力が抜けてその場にヘタりこんでしまった。
今まで、気張っていたものがすべて壊れていくように、赤い絨毯へととろけるように崩れていく。
一言でいえば、”安心”が彼女の元へと駆け付けるよりも早く襲ってきたのだ。


猫背になってしまった背中に、泣きじゃくるヴィヴィオが縋りついてきたのがスイッチとなり。
フェイトの頬にも、どしゃぶりの雨のように涙が滴った。





あぁ、なんて彼女は間が悪いのだろう。
こんな、グチャグチャな顔の時に自分のことをみつけて名前を呼ぶなんて。








「フェイトちゃん!」








そこには、車いすに乗ったなのはがいた。





****************




車いすを押してきてくれた看護婦さんに聞くと、なのははつい2時間前ほどに目覚めたらしく、起きた時も案外意識はハッキリしていたそうだ。
ある程度基礎的な診察を受けた後、どうしても自分に会いたいと言って聞かなかったなのははヴィヴィオにフェイトは”ここ”にいると聞きだして、動かない足で無理に移動しようとしたらしい。
最低限、病院として譲れない点として、看護師の同伴と車いすが用意されたのだそうな。

看護師さんのその口ぶりからして、かなり無理を通したのだとヒシヒシと伝わってきた。



ところが、なのは達実際教会の前まで来てみると入口に大きな段差があって、うまく中に入ることができない。
ここは、あまりお世辞にも新しい教会とは言えなかったため、バリアフリーが追いついていなかったのだ。
それで、ヴィヴィオに呼びに行かせて、今に至る。











「まだ、あんまりしっかりと感覚は戻ってきてないんだけどね、どうしてもフェイトちゃんに伝えなきゃいけないことがあったから」

シスターにも手伝ってもらい、なのはを礼拝堂のなかへ運び込むと、みんな気をきかせてくれたのかフェイトとなのは、二人を置いて部屋から出ていってしまった。
彼女たちの気配りがすごくうれしかった。
「私も…なのはに伝えなくちゃいけないこと、あるんだ」


祭壇に背を向け、なのはの真向かいで片膝を絨毯につけると、それはまるで騎士であるかのよう。


「一番最初に言いたいんだ…私は、何度もなのはを傷つけちゃった。助けられもしなかった。本当に…ごめんなさい」
顔は見ないで言う。とても臆病だから、なのはの表情ですべて答えがわかってしまったら、大切なことを伝えられないまま終わりそうな気がして。

「私が助けられなかった罪は許してもらえなくていい、ただ側にいることだけは許してほしいんだ…なのはが、側にいなくちゃ私ダメだから。いや…なのはのそばにいたいから」


彼女の返事をを待つ。目をつぶって、怯えるようにして、胸を大きく波立たせて。










だけど、言葉は返ってこなかった。









その代わりに、頭を撫でる感覚がして、フェイトは顔をとっさに上げる。
そこには、笑顔だった。泣きながら笑うなのはの”答え”が待っていた。



私だって、フェイトちゃんがいなくちゃダメなんだよ。




かろうじて彼女の絞り出した声は、フェイトの思考を打ち抜いてそう聞こえた。



「わたし、思いだしたんだよ。全部。今までのことも合わせて、私は…生まれ変わっても、きっとフェイトちゃんがいなくちゃダメなんだってわかった。きっと探しちゃうんだ、どんなときでも」

記憶をなくしたって、生まれ変わったって。

「フェイトちゃんのことだから、全部許してあげるって言っても、心のどこかで自分を苦しめ続けるよね?それに、事故は私のせいだよ。だから、フェイトちゃんが自分を責める必要はない」

さっきまでの真面目な表情とうって変わって、『全部わかってるんだよ』とどこか母親めいた笑顔。

「ちゃんと、私はフェイトちゃんの全部を許すから。いつかまた不安になっても、私が抱きしめてあげるよ。だから、見えない場所に行かないで」
抱きしめられると、不安が和らぐ。
ヴィヴィオがJS事件の時にさらわれた後、機動六課の屋上で抱きしめた後に言われた言葉だった。だから、今度はフェイトちゃんの番だよ、といいたいのであろう。
(ありがとう…なのは)











「ねぇ、フェイトちゃん」
なのはの左手が頬に滑り込んで、優しく肌に触れた。頬に伝わった感触で、指のひとつに硬くてヒンヤリとした何かを身につけているのがわかる。
そう、それはきっと、ベッドの横に箱ごと置いておいたある”もの”だ。







「フェイトちゃん、これからも私に夢をみさせて。とびっきり幸せな、覚めることのない夢のような現実」









つまりは、フェイトの誓いを待っているのだ。わざわざ、あれをつけてきたということはそういうことなのだろう。
「ちゃんと、伝えてほしいの。フェイトちゃんの気持ち」
頬に触れる指先が、震えるのがわかった。
答えなんてほとんど9割予測できるのに、怖いのはきっとフェイトが大切な故だろう。
打算的に行動できない、イヤな想像が膨らんで怖くて仕方ない、それが恋なのだ。


それを安心させるには、早い返事。


なのはのベッドに横たわった姿を見ながら考えていたことを、フェイトの口は言葉にするだけだった。






「私は…私は弱いから…。なのはにこれからも縋っていくと思うし、時には情けない姿も見せるかもしれない…」

背中から、礼拝堂の十字架が見守っていてくれる。素直に、今の気持ちを伝えなさいって。

「今年の事で、なのはが本当は自分を許してくれないんじゃないかって、どんなに『大丈夫』って言われても思うだろうけど…」
グッと目を上げ、意思を目から伝えるように力を込める。



「なのはが隣にいてくれるだけで、きっといつでも私は強くなれる。なのはは、こんな気持ちに巡り合わせてくれた大切な人だから。」



いや、なのはに巡り合えた事自体に感謝してる。
世界で何十億といる人間の中に、これだけ幸せな出会いができる人なんてそうはいない。








だから、私はもったいなぐらいの幸せ者なんだ。









「こんな幸せを、いつかどっちかが死ぬまで、ずっと続けたい」







そういって、なのはの左手を頬からとり、左手にはめられた”あれ”を引き抜いた。






何も言わずに、なのはの影を自分の影と重ねると。







「今度は、ちゃんと私の手からなのはの指に送るよ」












その薬指に、もう一度はめるのだった。









「結婚しよう」















******************








「はやてちゃん、おそーい!」

エレベーターのトビラが開いた瞬間、眼の前にドレスアップして姿のヴィヴィオが仁王立ちしていた。
「ごめんなぁ、ヴィヴィオ。どうしても今日中に提出しなかん書類があってな」
おしゃまな格好でせっかく着飾ったヴィヴィオの顔が膨れる。

「せっかく、ママ達の結婚式なのに遅刻はダメ~」

そういって指差した廊下の向こう、親類控え室には、珍しげに魔法世界の風景を見ている高町家の家族がいた。
案外落ち着いている恭也さんの横で、大はしゃぎのみゆきさん。今から緊張している士郎さんに、すでに泣きそうな桃子さん。
だれもが今回の結婚に不安を持ってる雰囲気ではなかった。むしろ、歓迎している様子だ。


(やっぱり、誰も異論なんてもたへんやん)

その姿をみて、はやての顔に笑顔が灯る。
「なぁ、はやて。早くエレヴェーターから出てくれよ。ドアしまっちゃうよ」
ドレスの腰の辺りをひっぱって、後ろにいたヴィータが顔を出す。
「あぁ、そやね」
高いヒールが音を鳴らし、数歩進んでヴィヴィオの隣へ並ぶと、後ろにいた守護騎士の4人を見つめた。
「せやけど、私らが親族の集合写真に写ってええん?」
「フェイトママが…私、親類あんまりいないから…って」
少し残念そうな顔で、小さい子が告げるには暗い話。
「でも、親類だと思うくらい八神のみんなは大切だからって、なのはママもフェイトママもいってた!私も大賛成だよ!」



と、ヴィヴィオは言うが、フェイトの事は置いておいて、実際魔法世界に呼べる親類がなのはにも少なかったからであろう。
魔法世界に連れて来れれる一般人は、高町家、アリサ、すずかぐらいだ。
あちらの世界での、魔法は秘匿とされる。

ましてや、同性婚はこちら側でのルールである。親戚中が皆、いい顔をするとは限らないし、今後も結婚報告など…高校も行かなかった時点で何かおかしいとは思われているだろうが、一切しない予定だそうだ。




やはり、あちらの世界では普通と違う。









だけど、彼女達がやっと辿りついた幸せなら、その価値は普通という力に縛られてはいけない。










「さ、はやてちゃん達、もう集合写真だよ。ママたちも先に行って待ってる」
「うん」















はい、いきますよ…3,2,1


















高町家、ハラオウン家、八神家に囲まれて映るその真ん中で、ウェディングドレスに包まれ、頬を寄せ合って映る二人の笑顔。





きっと、どんなに離れても、自分を失っても、生まれ変わっても。






二人はその笑顔を探しに行くのだろう。
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COMMENT

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● 管理人のみ閲覧できます
| | 2009/03/18(水) 07:55 [EDIT]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
● いっっっっっっっっっっっっっっっっやっっっっっっっっっっっっはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーっ!!!!!!!(魂の超絶咆吼
魔ぎゅなむ | URL | 2009/03/18(水) 13:08 [EDIT]
 よし……よし!!!!!!!!
 フェイトさんとなのはさんが結婚なされたぞぉぉぉーっ!!!!!!!!!!!!(咆吼
 やっと、やっとだよ、吉野さんがようやくHappy ENDを書いてくれたぁぁぁぁぁぁぁぁーっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!(血涙
 はぁ、良かった。本当に良かった。フェイトさんとなのはさんが幸せになって本当に良かった(滝涙
 こりはお返しを……と言いたいところなんですが、先約が結構、ね(苦笑
 なので、Happy ENDありがとうございました~。ということにさせていただきますね。
 それでは、これからも頑張ってください。応援しています。では、また。

吉野 | URL | 2009/03/21(土) 21:41 [EDIT]
>ハッピーエンド~~…様♪
やっとハッピーエンド書きましたよ!www
いや、かけましたよwwwww

そうそうww人ってなかなか買われるものじゃないので、結局変わらないんですよねwww
十字架の下でプロポースっていうのをやりたくて(*´∀`*)

そうです!お待ちかねの結婚式です!www
神父は…最初あのシスターでやるつもりだったのですが、書けずじまいで…(´・ω・`)
ぶっちゃけ、忘れてまry(殴

末長く幸せにあの二人がいられることを祈って…♪

素敵コメントありがとうございました♪




>まぎゅなむさま♪
やっと書きました!
やっと…バッドエンドではなく、ハッピーエンドで二人の結婚式が…
ちゃんと…ちゃんと(?)、幸せにできましたよー!wwww
実は、この後結婚式の最中に花嫁強奪事件が…wwwwwなんちゃってwww

忙しそうですので、お返しはお気づかいなく^^

素敵コメントありがとうございました><

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